数ある未解決事件なかでも有名なのが「柴又女子大生放火殺人事件」。
事件から19年の2011年に時効が成立するはずでしたが、2010年4の改正刑事訴訟法施行でこの事件も公訴時効廃止となり、現在も捜査が継続中となっています。
今回、この事件についてまとめてみました。
事件概要

9月9日、午後4時39分、葛飾区柴又3丁目の会社員・Kさんの自宅から火の手が上りました。
近所の住民が消防署に連絡しましたが、木造モルタル2階建てのKさん宅は全焼。
焼け跡の2階の寝室から、当時上智大学4年生でKさんの次女A子さん(当時21歳)の遺体が発見されました。
しかし、死因は火事によるものではなく、鋭利な刃物で首を刺されたことによる失血死と判明。
さらに両足はストッキングで「からげ結び」という造園業や和服の着付けなどで使用される特殊な方法で縛られていました。
警察は「殺人後の放火」と断定。
しかし未だ犯人につながる証拠は見つからず、事件は現在も未解決のままとなっております。
計画的犯行か衝動的犯行か

3時50分に母親がパートに出かけており、その40分後には被害者宅が放火されています。
家に入って彼女を見つけ、殺害が先か、縛ったのが先か不明ですが、殺害後すぐに逃げ出し火をつけないと時間的に間に合いません。
物盗りは時間との勝負だから早いという点では合致しますが、この手の物盗り程度の犯行でここまでした人間はそうはいないそうです。
母親が出かけるのを見届けて犯行におよんだことはまちがいないと考えていいでしょう。
もどちらにせよ計画的にやらないと難しいというのが警察の考えでした。
どうやらA子さん自身、事件の10日前からストーカーの存在を匂わせるような言動を周囲に漏らしていたようです。
死を予見していた被害者

家族によると、Kさんが後をつけられたのは、事件発生約10日前の1996年8月末。
9月11日からの米国留学を目前に、大学の友人やアルバイト仲間らが度々開いた送別会からの帰宅途中でした。
午前0時ごろ、Kさんは最寄りの京成電鉄柴又駅の公衆電話から自宅に電話をし、家族に「誰かが後ろを付けてきて、道を曲がっても、次にまた曲がっても付いてきた。だから駅まで戻った」と訴えました。
その時は母親に迎えに来てもらい難を逃れたようでしたが、犯人は執拗にA子さんをつけ回し、機会を窺っていた可能性も考えられます。
そして、犯行がA子さんの海外留学の渡航2日前というタイミング…
前述のとおり、A子さんの事件前の状況を考えれば、犯人がA子さんのスケジュールを知っていた可能性が大いにあります。
日程を知っているとすれば、考えられるのは身内か、学校関係か、どちらにせよA子さんの周辺に犯人がいたと思われます。
さらに現場は住民のつながりが想像以上に強い下町。
A子さんが留学するとなれば、その日程を地元住民が雑談などから知っていた可能性はかなり高いです。
その地域における特定の人物の交友関係を警察が洗うことなど造作もないでしょう。
所属サークルの闇

数多くの目撃情報や不審者情報があがっているが、犯人逮捕に結びついていません。
事件の内容からいっても、警察が軽視する性格の事件ではありません。
不審者情報、A子さんの交友関係、両親の交友関係、それらすべてを調べても逮捕に結びつかない理由はなんなのか?
A子さんが「S」という、夏休みに地方の中学生などに英語を教えるサークルに所属していたことが明らかになっています。
実は、一部の大学のサークルは宗教団体などの青年部の隠れ蓑であるケースが多いそう。
事実、オウム真理教や新興カルト教団も「ボランティア」や「ヨガ」という看板を掲げたサークルを各大学に作り会員を集めてきたようです。
A子さんが所属していたサークルが布教を目的としていたとは言い切れませんが、上智大学にはそれに近いある理由があるようです。
何らかの力が働いたか

上智は名門大学+aの理由があり、簡単に捜査員が入れるようなところではなく、相当上の許可が必要なんだそう。
というのも上智大学はイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルの構想を基に設立された大学。
戦後GHQの庇護の下、東京都の所有地であった四谷「真田壕」の土地は、上智大学が東京都との間で交わした「借地契約」によって手に入れた土地。
そこに日本における、キリスト教布教活動の拠点として上智大学が築かれました。
こうした経緯から、上智大学はイエズス会の“大使館”のような機能を有しており、学校内への捜査は「外交問題」となってしまいます。
犯人に関する可能性を様々な面から探ってきましたが、残された可能性は、犯人を逮捕したくてもできない事情があったということではないでしょうか。
その事情とは…
真相が明らかになる可能性は限りなくゼロなのかもしれません。