皆さんは心霊スポットで本当に起きた神隠し事件をご存じだろうか。
もともと心霊スポットでは霊障や神隠しが起きるなんて言われるが、本当にそれが起きた事例は数少ない。
今回はそんな数少ない心霊スポットでの行方不明事件をご紹介しよう。
事件の概要

事件の始まりは、1996年(平成8年)5月5日の夜のことだった。
当時19歳の女性二名が家族に「肝試しに行く」と告げて 富山県氷見市内の自宅を出発 。
その後、友人のポケベルに「今、 魚津市にいる 」とメッセージを残したのを最後に行方不明になった。
そして彼女らが肝試しに行ったとされるのが、『坪野鉱泉』と呼ばれる廃墟である。
ポケベルのメッセージに加え、彼女らが運転していたとされる車が魚津市に向かっていたという目撃情報もあり、富山県警は2人が坪野鉱泉で消息を絶ったと判断し、事件・事故の両面で捜査を開始。
ヘリコプターを投入するなど、大規模な捜索が行われたが、手がかりが掴めないまま10ヶ月が経過。
その時点で彼女らが満20歳を迎えたことから、県警は彼女らの特徴などを載せたパンフレットを作成し準公開捜査に乗り出す。
しかしそれでも有力な情報は得られず、 10年もの月日が流れた。
そのうち、坪野鉱泉の廃墟で暴走族に殺されて埋められたのではないか、北朝鮮に拉致されたんじゃないか、などの噂が流れ、いつしか心霊スポットで起きた神隠し事件と呼ばれるようになった。
廃墟概要

魚津市には、北陸随一の心霊スポットと言われている廃墟がある。
1982年に廃業した8階建ての温泉旅館で、廃業する前はホテル坪野という名前だった。
廃墟になった今は通称“坪野鉱泉”と呼ばれている。
建物は8階建てで、広さは3,300m2。
魚津市の史跡である坪野城跡の裏にある。
廃業前は日本観光旅館、国際観光旅館に指定されていたほどの宿泊施設。
和風レストランシアターやクラブ「ダンス天国」、そば処「山里」、喫茶店「寿楽」といった飲食店や、ワイキキプールも設置あった。
廃墟になった経緯としてバブルの崩壊があったようだ。
倒産以前から売り上げがよくなかったようで、1984年についに倒産し、オーナーは行方不明に。
その後、付近にスキー場やリゾート施設の建設の計画が出てきて、ホテルとしての利用価値はまだあるかに思えたが、バブルの崩壊とともにその計画も頓挫し、心霊スポットとしての地位を確立した。
夏場には肝試しの若者たちが集い、富山県内外の暴走族の溜まり場にもなって おり、内部には侵入者によって破壊されたり落書きされた箇所が至る所に見られる。
また、1985年9月15日には、旧館(木造一部鉄筋2階建て)にて火災が発生。
1990年3月3日には、敷地内の薬師堂が全焼する火災が発生している。
どちらの火災も原因は不明であるが、おそらく侵入者によるものと思われる。(あるいは…)
そのため、現在は立ち入り禁止の金属製の塀が建てられている。

24年後、遺体として発見

2020年3月4日、富山湾の海底から1台の車が引き上げられた。
この車は、件の1996年から行方不明となっていた2人の少女が失踪当時に乗っていたものであり、中からは複数の人骨が発見された。
警察の発表によると、車内から発見された人骨は死後10年以上が経過しており、死因はおろか年齢や性別も特定できなかった。
車の識別番号や車内にあった所持品から、身元を特定。
結局、行方不明になっていた2人は、坪野鉱泉ではなくそこから40キロも離れた射水市の伏木富山港で見つかった。
車で移動すると1時間を要する距離。
位置関係としては、自宅がある氷見市と坪野鉱泉の間に伏木富山港があり、彼女たちのポケベルのメッセージから、坪野鉱泉を訪れた帰り道に伏木富山港に立ち寄ったものと推測される。
では発見現場である伏木富山港 で何があったのか。
県警によると、目撃者の証言を経て、彼女らを発見したようだ。
目撃者は何を隠しているのか

彼女らが消息を絶ったのが1996年、それから18年後の2014年に県警は目撃者が複数いるとの情報を得た。
さらに5年後の2019年に目撃者3人を特定、今年に入ってから事情を聞いていたようだ。
その後、その証言をもとに海底の捜索を行い、車とご遺体が発見。
目撃者から聞き取った話は、おおよそ24年前の出来事とは思えないほど具体的な話だった。
1996年の大型連休中の深夜、発見場所付近の駐車場で車に乗った若い女性2人に声をかけようとしたところ、突然後ろ向きに発進して海に転落した。目撃者は怖くなり、通報せずにその場を立ち去った。
人が乗った車が目の前で海に転落して、通報せずに立ち去るものがいるだろうか。
何かを隠しており、警察に通報しなかったのではなく、通報できなかったのではないか。
また、県警が目撃者の存在を把握してから聞き取りを行うまで、さらに6年もかかっている。
あまりにも時間がかかっており、これもまた何か裏がありそうだ…
前述の通り、行方不明者2名の死因が特定できていない。
そうなると、もしも強引なナンパや誘拐、殺人の類が行われていたとしても、立証することはほぼ出来ない。
立件できるとしたら死体遺棄罪ぐらいだろうが、既に15年以上が過ぎ、公訴時効が成立している。